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​フリッツ・ルッカ―の音

  • 執筆者の写真: 中川 康大
    中川 康大
  • 2013年11月7日
  • 読了時間: 2分

ほとんど需要のない話で恐縮ではあるが、一応記しておきたい。

フリッツ・ルッカーが Dresdner Staatskapelle で演奏していたのは1962年までである。そのため、彼の音を聴ける録音は数少ない。ただ、その数少ない録音から聴き取れる独特の響きに私はことのほか大きな印象を受けていた。しかし、それらは所詮録音。実際にどういう響きでどういうバランスで演奏されていたかは自明ではなかった。

だが最近、2012年まで同楽団の首席奏者を務めていたエッカート・ハウプトのインタビュー記事を読んでいたら、非常に重要な証言を見つけた。彼曰く、ライプチヒで学んだエーリッヒ・リストが軽くて豊かなヴィブラートを伴った演奏法であったのに対して、ドレスデンで学んだルッカーは大きな音量の幅と控えめなヴィブラートをを伴った、中身の詰まった響きを持っていた、とのことである。

これは私が彼の録音で受け取った印象と見事に重なる。しかしそうだとしたら、ルッカーのフルートはオーケストラの中で相当な存在感を示していたのだろう。

因みにハウプトは学者としてプロヴァンスから来た宮廷楽師ビュファルダンより連綿と続くドレスデンのフルートの歴史を研究している。今、彼の著書を読み込んでいるところなので、いずれその成果を皆様に発表できる日が来ればと考えている。


 
 
 

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