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ブルックナー『弦楽五重奏曲』

  • 執筆者の写真: 中川 康大
    中川 康大
  • 2013年11月21日
  • 読了時間: 2分

ブルックナーの弦楽作品が素晴らしいと聞き、名曲として知られる彼の弦楽五重奏曲を入手した。第一印象はそれほどでもなかったが、毎日時間を見つけて聴いていたら、いつのまにかこの曲の虜になってしまった。最も美しい第三楽章から理解を始めたのがよかった。そうすると他の楽章の美しさも自然に身に沁みてきた。


入手したのはライプツィヒ弦楽四重奏団版。他の録音が気になりインターネット上でも調べてみたのだが、私が入手したライプツィヒの録音は当たりであった。


その理由は簡単で、他の録音に比べて楽曲の理解を妨げる表現がないのである。チェリビダッケが「ブルックナーの交響曲第八番は、未だエゴに捕らわれている人々にとって最高の授業である」と言ったが、この曲も例に漏れない。無駄な表現を排しない限り、彼が構築した響きが耳に届いてこないのだ。


ミヒャエル・ギーレンが指揮した『交響曲第八番』、ハンス・ロスバウト指揮の『交響曲第七番』など、現代音楽に造詣の深い指揮者が名録音を残しているのも頷ける。


それにしてもこの曲の世界の美しいこと。第一楽章冒頭を聴いていると、早朝の小村、朝靄のなかで人々が一日を始めようとしている様が目に浮かぶ。ごく普通の人間の生に深く寄り添った音楽。そんなふうに私は感じるのだ。


ブルックナーは書いた作品が偏っているため、オーケストラの人間以外の音楽家とはあまり話題に上らない。これがさらに弦楽五重奏となると、ほとんど誰も知らないだろう。しかし、これはいい曲である。この美しさを共有できたらと、切に願うものである。

 
 
 

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